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就学前健診における予防接種の勧め

私が学校でお話をする時の原稿をご紹介します


「麻疹全快祝いの酒盛り」
(はやり病の錦絵より借用)

 みなさんまずはご入学おめでとうございます。この学校は創立が明治6年で○年前に
140周年を迎えたところです。その11年前、文久2年(1862年)に麻疹の大流行
があったという記録が残っています。それによると死者が1万人強。1万人の死者という
ことは少なく見積もってもその100倍の100万人が麻疹に罹ったと考えられるわけで
当時の日本の人口が約3000万と言われていたことと比較するといかにそれが大きな
数字であったかということです。この絵は当時描かれた一連の「はしか絵」の中の1枚で
「麻疹全快祝いの酒盛り」と言います。当時は大人が麻疹に罹って死んでおり、これは
麻疹が治って命拾いしたとみんなでお祝いをしているというものです。さすがに今は
こんなことをする人はいませんが、「そりゃあそうだよ、今はいい薬があるんだから」
という方はちょっと違います。今はインフルエンザの時にタミフルやリレンザといった
抗ウイルス薬を使うのがなかば当たり前になっていますが、100年以上経った現在で
も麻疹ウイルスに対するこうした薬はまだできていません。「では今は当時と何が違う
のか?」というのがワクチンなんです。「ワクチンは我々に何をしてくれたのか?」
それは罹る人の数をぐっと抑えてくれたということです。麻疹は同じ部屋にいただけ
でも移る危険性のある「空気感染」をする病原体ですから。罹っている人が多ければ
それだけ爆発的な流行になる恐れがあります。日本では1978年に定期接種化され
ましたが、その後紆余曲折があり現在の麻疹・風疹混合(MR)ワクチンの2回接種
という方法に落ち着いたのが2006年です。数年前まで就学旅行にカナダやオース
トラリアを訪れた高校生が麻疹を発症し「日本は感染症の輸出国だ」と世界から非難
されたこともありましたが、ワクチン接種の徹底によりついに2015年春には通常の
状態で麻疹の流行がない『排除』の除隊であるとWHOから認められました。今後も
これを維持していくためにはみなさんが確実に2回の接種をしていただくことが必要
です。今では当たり前だと思っていることがちょっと前まではそうではなかったと
いうことはワクチンに限らず世の中にはたくさんあるとおもいますが、何でしつこく
予防接種の話をされるのかということについて少しでもみなさんにご理解いただけれ
ば幸いです。他にもお話ししちことはたくさんあるのですが、今日は持ち時間があり
ませんのでここまでにしておきます。ご清聴ありがとうございました













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